第86回企画展「器にみるアンデス世界―ペルー北部地域編―」
中央アンデス地帯に土器が登場するのは紀元前1800年頃と比較的遅かったにもかかわらず、各地で多種多様な土器がつくられました。そして19世紀後半以降、欧米諸国の博物館や美術館がそれらの考古学的価値を高く評価したことで贋作(がんさく)がつくられるようになり、1950年代に収集家達が造形美術として価値づけたことで贋作づくりはさらに盛んになりました。本展では、ペルー北部地域を対象として古代アンデス造形美術の代表格である土器資料の真作と贋作を展示することで、当時の世界観に触れてもらい、それらが現代ペルー社会において古代とは異なる脈絡で再生産されている様子を紹介します。さらに国立民族学博物館の協力を得て、古代の土器製作技術を用いてつくられる民衆芸術作品を展示し、贋作とは異なる古代文化の再生産の在り方を提示します。
インカ帝国のイメージが先行しがちな中央アンデス地帯ですが、本展を通じて多様な文化の存在と現代ペルー社会に生きる人々の逞しさを感じとっていただきたいと考えます。