【くにぼめ日本遺産】(3)小松の珠玉文化  石川県小松市の弥生、古墳時代の遺跡では、数多くの碧玉や勾玉などが発掘されている。多彩な石が、この地...

共同通信

 石川県小松市の弥生、古墳時代の遺跡では、数多くの碧玉や勾玉などが発掘されている。多彩な石が、この地を豊かにしてきた。「『珠玉と歩む物語』小松~時の流れの中で磨き上げた石の文化~」として日本遺産になっている。
 白山信仰の那谷寺は奈良時代に開かれた古刹だ。境内を巡りながら長い時間の中で自然が生み出した造形を体感できる。「奇岩遊仙境」は、炎のように荒々しい形の岩々が神秘的で、仙人が遊ぶ聖地という趣き。岩肌に口を開く洞窟が異界を思わせる。
 那谷寺から程近くに、江戸後期から採掘が行われている滝ケ原石切り場がある。緑色凝灰岩の石材は上品な淡い草色。手作業で丁寧に石が切り出された跡が壁に残り、作業者たちの石への愛情をしのばせる。観音下石切り場の石材は、黄色い浮石質凝灰岩で、国会議事堂など全国の近代建築で使われてきた。
 江戸初期に始まった磁器づくりは、小松市の山中で陶磁器の原料となる良質な陶石が見つかり、「九谷焼」として隆盛を取り戻したという。赤、黄、緑など色とりどりの模様の上絵付けや、金を用いた絵付けで海外でも有名だ。「九谷焼の絵は装飾性が特徴」と解説するのは、地元・錦山窯4代目の吉田幸央さんだ。「わび・さびだけでない、色彩の美意識が日本にあることをもっと知ってもらいたい」と語る。
 同市立博物館には、地元で採れた水晶、オパールなどの鉱物が展示されている。古代、各地に広まった細密な碧玉も紹介。美しい石が小松の人々の美意識を磨いてきた歴史が、館内で静かに説き起こされている。