第4展示室 特集展示「亡き人と暮らす-位牌・仏壇・手元供養の歴史と民俗-」

仏壇は、人々が日常的に故人と向かい合う場として大きな役割を果たしてきました。仏壇は仏を拝むものというイメージもありますが、なかには本尊仏がなく、位牌だけが安置されている仏壇もあります。位牌はその家の先祖のものであり、むしろ仏壇と位牌が密接に結びついていったことで、仏壇があらゆる階層に浸透していったと考えられます。つまり先祖祭祀の場として仏壇が一般に普及していったことも、その特徴といえます。
従来、仏壇の起源については関心が払われ、研究も進められてきました。しかし、仏壇祭祀で切り離すことのできない位牌やその他の仏具が、どのように祀られてきたのかについては、地域的な多様性も含め、まだ十分に解明されていない点も多いのです。さらに近年、少子高齢化の進展や家族観の変容によって、仏壇じまいや手元供養の出現など、大きな変容も生じています。
そこで本展示では、仏壇や位牌、仏具などのさまざまな祭具に注目し、仏壇祭祀の展開やその地域的多様性、現代の変化など、家のなかでおこなわれる死者の祭祀の多様な歴史と民俗について考えていくものです。