村野藤吾と長谷川堯:その交友と対話の軌跡
建築評論家・長谷川堯は、独自の視点から日本の近代建築史を検証し、1972年、『神殿か獄舎か』(相模書房)で、大きな問いかけを行う。そして、この前後から、村野藤吾と親交を深めていき、村野の没後も、『村野藤吾の建築 昭和・戦前』(鹿島出版会2011年)を上梓するなど、現代へと続く村野藤吾の歴史的評価を決定づける多くの活動を続けたのである。
本展では、村野藤吾と長谷川堯の交友と対話の軌跡を追いながら、長谷川の眼差しと言葉を手がかりに村野の建築を振り返り、建築評論家・長谷川堯の成し遂げた仕事を通して、建築を社会が共有するために必要なものとは何か、を考える機会にしたい。